童謡や唱歌には、子どもの頃から何気なく歌ってきたものの、大人になってから改めて歌詞を読むと「この歌詞はどういう意味なんだろう?」と気になる表現があります。
昔の言葉や、現在ではあまり使われなくなった表現が登場する曲もあり、その意味を知ると歌の世界が少し違って見えてきます。
今回は、どうようファンに掲載している童謡・唱歌の中から、歌詞の意味や由来が気になる5曲を紹介します。
『どんぐりころころ』♪どんぐりころころ どんぶりこ
どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあたいへん
どじょうが出てきて こんにちは
ぼっちゃん 一緒に 遊びましょう
どんぐりころころ 喜んで
しばらく一緒に遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いては どじょうを 困らせた
(作詞:青木 存義、作曲:梁田 貞)
『どんぐりころころ』の気になる表現【どんぶりこ】
冒頭の歌詞、「どんぶりこ」は「どんぐりが池に落ちる様子」を表す言葉として歌われていますが、現在の一般的な感覚ではあまり使わない表現です。ここは「どんぐりが水の中へ落ちていく様子」を表した擬態的な表現として理解するのが自然です。
つまり、「どんぐりが池に落ちた」というだけでなく、ころころ転がって、ぽちゃんと水の中へ入っていくような動きを「どんぶりこ」という言葉で表現している、と考えると歌詞が分かりやすくなります。
『雪』♪ゆきやこんこ あられやこんこ
ゆきやこんこ あられやこんこ
ふってはふっては ずんずんつもる
やまも のはらも わたぼうしかぶり
かれきのこらず はながさく
ゆきやこんこ あられやこんこ
ふってもふっても まだふりやまぬ
いぬはよろこび にわかけまわり
ねこはこたつで まるくなる
(作詞:武笠三、作曲:文部省唱歌)
『雪』の気になる表現【こんこ】
童謡『雪』多用される表現「こんこ」。この言葉は資料によって説明が異なります。『日本国語大辞典』では、「こんこ」を雨や雪などが降り続く様子を表す語としています。一方、「こんこん」はもともと「来む来む」で、「雪よもっと降れ」という意味だったという説も紹介されています。
つまり、「こんこ=雪が降る音」と単純に決めつけるより、雪が降り続く様子を表す言葉として捉えるのが安全です。
なお、歌詞は「雪やこんこ」で、「雪やこんこん」ではありません。この点も意外と間違えやすいところです。
『夕焼け小焼け』♪夕焼け小焼けで 日が暮れて 山のお寺の 鐘が鳴る
夕焼け小焼けで 日が暮れて
山のお寺の 鐘が鳴る
お手々つないで みな帰ろ
烏といっしょに 帰りましょ
子どもが帰った あとからは
まるい大きな お月さま
(作詞:中村雨紅、作曲:草川信)
『夕焼け小焼け』の気になる表現【小焼け】
冒頭の歌詞「小焼け」は、実は意味が一つではありません。
『日本国語大辞典』では、「小焼け」は語調を整えるために添えられた言葉で、「夕焼け」と同じ意味とされています。一方、『新明解国語辞典』では「夕焼けがだんだん薄れること」と説明されています。
このように、「夕焼け小焼け」が具体的に何を意味するのかについては、いくつかの解釈があり、はっきりと一つに決まっていないところが、この歌詞の面白いところです。
『とおりゃんせ』♪とおりゃんせ とおりゃんせ
とおりゃんせ とおりゃんせ
ここはどこの ほそみちじゃ
てんじんさまの ほそみちじゃ
ちっととおして くだしゃんせ
ごようのないもの とおしゃせぬ
このこの ななつの おいわいに
おふだをおさめに まいります
いきは よいよい かえりは こわい
こわいながらも
とおりゃんせとおりゃんせ
(わらべうた/わらべうた)
『とおりゃんせ』の気になる表現【行きはよいよい、帰りはこわい】
歌詞では、天神さまへ「この子の七つのお祝いに」お札を納めに行く場面が描かれています。一方で、「行きはよいよい、帰りはこわい」という印象的な歌詞があり、いったい何がこわいのだろう?と気になる人も多いでしょう。
この「こわい」の意味については、昔からさまざまな解釈があります。関所を通ることの難しさを表しているという説などもありますが、これが歌詞の本当の意味だと断定できる確かな根拠はありません。
いくつもの解釈があるものの、はっきりとした答えは分かっていません。意味が一つに決まっていないからこそ、さまざまな説が生まれたところも、この歌の興味深いところです。
『七つの子』♪からす なぜなくの からすは 山に
からす なぜなくの
からすは 山に
かわいい 七つの
子があるからよ
かわい かわいと
からすは なくの
かわい かわいと
なくんだよ
山の 古巣へ
いってみて ごらん
まるい 目をした
いい子だよ
(作詞:野口雨情/作曲:本居長世)
『七つの子』の気になる表現【七つ】
「七つの子」の「七つ」は、いったい何を表しているのでしょうか。
「七羽の子ガラス」なのか、それとも「七歳の子」なのか。
この点については、昔からさまざまな議論があります。国立国会図書館のレファレンスでも、「七羽説」と「七歳説」の両方が紹介されています。
さらに、作詞した野口雨情自身が「七つ」について言及した資料も残っています。そのため、「七羽」とも「七歳」とも、簡単には断定できないところが、この歌の面白いところです。
子どもの頃は何気なく歌っていた「七つの子」ですが、「七つって何のこと?」と考えてみると、意外と奥深い歌詞なのです。
昔から歌われてきた童謡には、現在ではあまり使わない言葉や、意味についていくつもの説がある表現も登場します。
子どもの頃は意味を考えずに歌っていた曲も、歌詞の一つひとつに注目してみると、昔の言葉や暮らしを知るきっかけになって面白いですね。

