『紅葉(もみじ)』歌詞&音源
秋の夕日に 照る山もみじ
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる 楓や蔦は
山のふもとの 裾模様
谷の流れに 散り浮くもみじ
波にゆられて 離れて寄って
赤や黄色の 色様々に
水の上にも 織る錦
(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一作曲)
『紅葉(もみじ)』の意外と知らない豆知識3選
具体的な舞台あり!
『紅葉』は作詞家高野辰之(たかのたつゆき)がみた景色がもとになっているといわれています。『故郷』や『朧月夜』など、日本の名唱歌を数多く作詞しました。
高野辰之の息子さんの証言によると、この歌の舞台は、かつて群馬県と長野県の境にあった信越本線・旧熊ノ平駅(くまのたいらえき)周辺の碓氷峠 の風景だとされています。
高野辰之は東京と信州を往復する際に、アプト式という特殊なレールで汽車がゆっくりと進むこの区間の車窓から、山一面の紅葉の美しさに感動し、この詞を思いついたと言われています。

作曲者は有名なあの名コンビの一人、だけど発表当時は秘密だった!
この歌を作曲したは岡野貞一(おかの ていいち)は、高野辰之と並ぶ、唱歌界の「名コンビ」です。彼もまた、『故郷』『春が来た』『春の小川』など、多くの名曲を手掛けています。
明治時代に発表された「文部省唱歌」の多くは、作者名が伏せられていました。これは、特定の個人の作品というより、国の教育のために作られた歌という位置づけだった為です。
「紅葉」も例外ではなく、発表された教科書には作詞者・作曲者の名前は書かれていませんでした。作者が公式に「高野辰之と岡野貞一」と明記され、広く知られるようになったのは、戦後の著作権調査が進んでからのことなんです。
歌詞の「錦」と「裾模様」は、和服の美意識が関係している!
この歌の歌詞には、日本の伝統的な着物や織物の美しさが表現されています。
1番の「裾模様(すそもよう)」 「松をいろどる楓や蔦(つた)は、山のふもとの裾模様」という歌詞があります。
「裾模様」とは、着物の裾の部分に描かれた模様のこと。 山に残る緑の「松」を地色に、赤く色づいた「楓」や「蔦」が絡みつく様子を、まるで着物の裾を飾る豪華な柄に見立てて表現しています。
2番の「織る錦(にしき)」 「赤や黄色の色様々(いろさまざま)に、水の上にも織る錦」という歌詞では、川に散って流れる色とりどりの紅葉の葉っぱが、水面で揺れる様子を、最高級の絹織物「錦」に例えています。
錦は、色とりどりの糸を使って豪華な文様を織りなす織物で、その美しさが流れる紅葉の様と重なる、非常に雅(みやび)な表現です。
遠くから見た山全体を着物の「裾模様」に、近くで見た川面を流れる紅葉を最高級の「錦」にそれぞれ例える…そんな壮大なスケールで自然の美を捉えているのがこの歌の魅力です。

