【春が来た】歌詞&音源
春が来た 春が来た
どこに来た
山に来た 里に来た
野にも来た
花が咲く 花が咲く
どこに咲く
山に咲く 里に咲く
野にも咲く
鳥が鳴く 鳥が鳴く
どこで鳴く
山で鳴く 里で鳴く
野でも鳴く
(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)
『春がきた』の意外と知らない豆知識1選
『春がきた』は緻密に計算された「春の伝播(でんぱ)地図」!?
1. 春は「山」から滑り降りてくる
歌詞は「山に来た、里に来た、野にも来た」と続きます。なぜ「野」から始まらないのでしょうか? 実はこれ、当時の人々の春の訪れ方と合致しています。高い山から雪が解け、その水が里を潤し、最後に野原が芽吹く。作者の高野辰之自身が山の見える土地で育った経験から、「春は山からやってくる」という確信的な視点があったのでしょう。東からの風が運ぶ春の気配を、山・里・野という大きなスクリーンを使って見事に演出しています。
2. 「に」と「で」の使い分けがすごい
歌詞の後半、3番で「鳥が鳴く、どこで鳴く、山で鳴く」というフレーズが出てきます。ここでハッとするのが、助詞の「で」の存在です。
これが花の話であれば、「山に咲く」で完璧です。花は移動できませんから、その場所に「存在」しているからです。しかし、鳥はどうでしょう?鳥は空を飛び、山という空間の中で能動的に活動しています。
ここで「山に鳴く」としてしまうと、なんだか鳥が山に埋め込まれているような、不自然な響きになってしまいます。高野辰之は、「鳥は自ら動いて鳴く存在である」という生命感を表現するために、あえて「山で」という動的な助詞を選んだのです。
結論:春の広がりを描く「ロードムービー」
『春が来た』は、ただ春を喜ぶだけの歌ではありません。山の頂から野原へと、春という気配がどのように移動し、そこに命がどう躍動するのか。その「広がり」を、わずか数行の言葉で映画のように描ききった、まさに文学的なロードムービーと言えるでしょう。

