待ちわびた寒さの終わり、あたりを彩る花の息吹、そして新しい始まりの予感。
日本の春は、喜びと希望に満ちた美しい季節です。
そんな心弾む情景を、素朴で美しい言葉で歌い継いできたのが童謡の数々。
小鳥のさえずり、野原の温かさ、卒業と入学の思い出…。今回は、世代を超えて愛され続ける名曲の中から、春のやわらかな日差しと希望を深く感じさせてくれる選りすぐりの8選をご紹介します。
童謡とともに、心穏やかな春の訪れを味わいましょう。
【花】♪春のうららの 隅田川
春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂(かい)のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を
錦おりなす 長堤に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき
(作詞:武島羽衣/作曲:滝廉太郎)
【春が来た】♪春が来た 春が来た どこにきた
春が来た 春が来た
どこに来た
山に来た 里に来た
野にも来た
花が咲く 花が咲く
どこに咲く
山に咲く 里に咲く
野にも咲く
鳥が鳴く 鳥が鳴く
どこで鳴く
山で鳴く 里で鳴く
野でも鳴く
(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)
【朧月夜(おぼろづきよ)】♪菜の花畠に 入日薄れ
菜の花畠に 入日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し
里わの灯影も 森の色も
田中の小道を たどる人も
蛙の鳴く音も 鐘の音も
さながら霞める朧月夜
(作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一)
【春の小川】♪春の小川は さらさら行くよ
春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら
春の小川は さらさら行くよ
えびやめだかや 小ぶなの群れに
今日も一日 ひなたでおよぎ
遊べ遊べと ささやきながら
(作詞:林柳波、作曲:岡野貞一)
【春よ来い】♪春よ来い 早く来い
春よ来い 早く来い
歩きはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
春よ来い 早く来い
おうちの前の 桃の木の
蕾もみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
(作詞:相馬御風、作曲:弘田龍太郎)
【さくらさくら】♪さくら さくら 野山も 里も
さくらさくら
さくら さくら
野山も 里も 見わたす限り
霞か 雲か 朝日ににおう
さくら さくら 花ざかり
さくら さくら
弥生の空は 見わたす限り
霞か 雲か においぞ いずる
いざや いざや 見にゆかん
(日本古謡/日本古謡)
【どこかで春が】♪どこかで春が 生まれてる
どこかで春が 生まれてる
どこかで水が 流れ出す
どこかで雲雀(ひばり)が 鳴いている
どこかで芽の出る 音がする
山の三月 そよ風が
どこかで春が 生まれてる
(作詞:百田宗治/作曲:草川信)
【早春賦(そうしゅんふ)】♪春は名のみの風の寒さや
春は名のみの風の寒さや
谷の鶯(うぐいす)歌は思えど
時にあらずと声も立てず
時にあらずと声も立てず
氷解(と)け去り葦(あし)は角(つの)ぐむ
さては時ぞと思うあやにく
今日もきのうも雪の空
今日もきのうも雪の空
春と聞かねば知らでありしを
聞けば急かるる胸の思いを
いかにせよとのこの頃か
いかにせよとのこの頃か
(作詞:吉丸一昌、作曲:中田章)

